死りとりゲーム


次は【た】だ。


これもその気になれば、すぐ見つかるだろう。


問題は、賢太にその気__つまり、ゲームをスムーズにクリアする気があるかどうか。


ゆっくりと廊下に出た賢太は、そのまま歩いていく。


急いでいる様子はまったくない。


もう【た】から始まるものを見つけているのか、それとも__?


私たちは、教室に戻ってきた。


もったいつけるように、賢太は教室内を歩いて回る。


時おり、机の中を調べたりしながら。


「また何か企んでいるなら、それでもいい。俺と田辺はゲームをクリアするだけだ。お前には一切、協力しない」


新田くんが、改めて釘をさす。


すると賢太が立ち止まって口を開いた。


「ゲームをクリアするって?」と。


「そうだ、この死りとりゲームそのものをクリアしてみせる」


「どうやって?」


「1つずつクリアを重ねていけば、1人ずつでも退会はできる」


「それって、あとどれくらいかかる?それに、同じ言葉も出始めていて、回数を重ねれば重ねるほどクリアが難しくなってくけど?」


賢太の言うことにも、一理ある。


事実、私の【こ】も賢太の【た】もこれまでに出てきた。


どんどん言葉が絞られていく。


ゲームは、困難になっていくんだ。


< 209 / 261 >

この作品をシェア

pagetop