死りとりゲーム


「それでも俺たちは、ゲームを終わらせる」


「死りとりに失敗しても、死り神を殺せばクリアだもんな」


くくくっ、と笑う賢太はやっぱり素直にゲームをクリアする気がないのか?


「もうこれ以上、犠牲者は出したくない」


それは、新田くんの切実な思いかもしれない。


「犠牲者を出さずにクリアできるかな?」


「お前が【た】をクリアできれば問題ない」


2人が、互いを睨み合う。


先に目をそらしたのは、賢太だった。


「実は、もう1つこのゲームをクリアする方法を見つけたんだ」


「えっ?」


思わず声が出てしまった。


ゲームをクリアするには、死りとりを成功してポイントを貯めて退会するか、死り神を殺してポイントを得るかの、どちらかしかないのに__?


「色々と調べたら分かったんだ、もう1つのクリア法をね」


「それは、なんなの?」


「凄く簡単なことだよ。教えてほしい?」


得意げな物言いが悔しかったけど、ここはコクンと頷いておく。


「じゃ、手を出して」


「手?」


「知りたかったら、手を出して」


なんだか嫌な予感がして迷っていると、賢太が勝手に私の手を掴んだ。


「ちょっ、離してよ!」


「田辺史恵!」


「なに?なに言ってんの?」


「だから【た】から始まるもの、田辺史恵!」


えっ__?


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