死りとりゲーム


まさか私が攻撃してくるとは思わなかったのだろう。


死り神がその場に膝をつく。


まだだ。


まだだめだ!


ドライバーを引っこ抜くと、すぐさまお腹に突き刺す。


肉を断つ、なんとも言い難い感触が伝わってくる。


でも気持ち悪いなんて言っていられない。


早く死り神に死んでもらわなきゃ!


新田くんが地面に叩きつけられる前に殺し、ゲームを終わらせる。


そうすれば、新田くんは死ななくてすむ。


私は何度も、何度も何度も死り神の腹にドライバーを突き刺す。


たぶん、クラスメイトの誰かだろう。今は、それを気にはしていられない。


私が1番大事なのは、新田くんだから。


新田くんさえ助かれば、あとは誰が死んでもいい。


最後は馬乗りになって、死り神をめった刺しにする。


返り血を体にめいっぱい浴びた私は、そこでようやく死り神が絶命したのを知った__。


足元がぐらつく。


ゲームが、終わろうとしているんだ。


這うようにして屋上のヘリから下を覗き込むと__地面には2人が、あらぬ方向に手足をねじ曲げて落下していた。


間に、合わなかった__?


「そんなっ」


2人とも、死んだ?


がっくりうな垂れた私は、ふと影が動いたのを見逃さなかった。


動いている。


2人のうちのどちらかが、立ち上がったんだ!


新田くんに違いない。


新田くんは、生きている!


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