死りとりゲーム


「そっか、僕が最後の1人になるんだ。つまり、優勝者ってわけさ」


「優勝者?」


「だって、田辺は逃げただろ?ゲームが怖くなって、退会したんだから。それとも、僕が怖かった?」


なぜか胸を張る賢太は、1人で悦に浸っている。


確かに、私は怖かった。


ただの『しりとり』だったのに、いつの間にか死が迫る『死りとり』となっていた。1人、また1人と殺されていき、ゲームに入る瞬間がいつも怖くて。


そんな中、いじめられっ子の賢太は、ゲームが進むにつれて変わっていった。


やられてばかりだったのが、ゲームを利用してやり返すほうにまわる。


仲間が死ぬたび、賢太だけは自信をつけていったんだ。


人の命をなんとも思わない化け物に、成り果ててしまった。


そのことが1番、私には怖かった__。


「田辺も、寂しかったら僕が相手してあげるよ」


「えっ__?」


「もう、2人しか居ないんだから、仲良くしようよ」


そう言って、賢太が私に向かって手を伸ばす。


その手を私は、静かに握った。


「えっ、田辺?」


地面に倒れこむ私を、心配そうに覗き込んでくる。


大切なひとを失くしたから、気落ちして体調を崩したとかなんとか、賢太がワケが分からないことを喋っていた。


こいつは、なにを言っているのだろう?


私は、ショックで目眩を起こしたんじゃない。


私がその場にへたり込んだのは__。


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