死りとりゲーム


明かりが消えた。


私は呼吸を落ち着かせ、その場に佇(たたず)む。


初めて明かりが消えたときは、パニックになった。


今からなにが起こるのか、そしてそれはとても恐ろしいことだと肌が感じていたんだ。


でも、もう終わり。


焦ることもなく、私はただ待つ。


死り神がやってくるのを__。


だって、そのために【ん】で終わらせたんだ。


もっというなら、退会しなかった。


賢太にはポイントを使う権利がなかったから、すべての決定権は私が握っていた。


それなのに私は、自分がゲームに残ることを選んだ。


退会をさせたのは賢太。


あれだけ憎かった賢太を、先にゲームから解放した。


「本当に、これで最後」


そう呟いたとき、明かりが戻る。


私の目の前に、死り神が現れた。


その手には物々しい鎌が握られていて、私の首を斬り落とそうと__。


この時を、私は待っていた。


あえて退会をせず、死りとりを失敗して、死り神が私を殺しにくるのを、待ち構えていたんだ。


この、布きりばさみとともに。


鎌を持つ手が上がる前に、私は死り神の喉仏に向かってはさみを突き刺した。


深く、どこまでも深く。


すぐに血を噴き出した死り神が、苦しげに呻(うめ)く。


まだ、苦しむのはこれからだ。


私は、死り神のお面を剥ぎ取った。


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