死りとりゲーム
残り時間が【06:00】となった。
「ぷ!ぷ!」
「ぷ!」と繰り返して、教室内を家探ししている悠馬は、真剣そのもの。
ただ、それを賢太だけは笑って眺めていた。
日頃の腹いせができて、喜んでいるのだろう。
こんなことでもない限り、悠馬に楯突くなんてことはできない。
でも__失格になるだけで、それが終わればまた、何倍にもイジメられるんじゃないか?
私の心配をよそに、賢太はくすくすと笑っている。
「ふざけんじゃねーぞ!」
思い切り机を蹴飛ばすけど、時間はもう半分を切った。
いくら【ぷ】でも、事前になら用意できただろう。
学校内にあるもので【ぷ】から始まるもの__?
「あっ!」と、私はつい声を出してしまった。
一つあった。
前回のしりとりで打ち合わせしたときも【ぷ】から始まるものを考えていた。そのときは『プリクラ』になったけど、もう一つ候補があったじゃないか。
それを思いついたのは私だし、悠馬がそのことに気づけばいいけど。
答えが分かったと思ったのか、悠馬が私を睨む。
あまりの形相に思わず目をそらしたとき「あっ!」と叫んだ悠馬は、近くの机の中をあさった。
そして1枚の紙を引っ掴んで、高らかと突き上げる。
「プ、プリント!どうだ!」
勝ち誇った笑みを賢太に向けるが__。
『認められません』