死りとりゲーム


「なんでだよ!」


再び机を蹴り上げた悠馬は、額に汗を浮かべて焦っている。


プリントは、曖昧すぎてダメなのかもしれない。


でももう、他に【ぷ】から始まるものなんて思いつかない。


みんなも首を傾げているし、賢太はほくそ笑んでいる。


「くっそ!」


毒づいた悠馬は、手当たり次第に机と椅子を蹴散らして暴れ始めた。


もう、しりとりなんて二の次で、怒り狂っている。


「落ち着けって!」


「うっせーんだよ!」


新田くんの言葉も届かないようで、残り時間ももう3分くらいだろう。


初めての失格者は、悠馬だ。


失格になったら、どうなるのか?


ただゲームから外れるのか、それとも__?


「悠馬、頭を冷やせって!」


「うっせーよ!」


仲のいい新田くんの言葉にも、悠馬は耳を貸さない。


椅子を高々と持ち上げて、床に叩きつける。


ばらばらに砕け散った椅子の破片を持ったまま、急に悠馬が動きを止めた。


その視線の先には、裏切り者の賢太が。


「ひっ!」と息を飲んで後ずさる。


まさか、襲いかかるの?


胸がどきっとしたけど__悠馬は賢太を押しのけて教室を飛び出していった。


「頭を、冷やせ?」と呟きながら。


もう時間はないのに、一体どこに?


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