死りとりゲーム
「うそっ」
私の隣にいた明香が、ぼそりと呟いた。
どことなく、顔色が悪い気がする。
「明香?」
「ちょっと待ってよ」
独り言なのか、誰かに向けて言ったのか、とにかく落ち着きがない。
このゲームをクリアする方法を思いついたりと、冷静なことが多い明香が動揺しているように見える。
もう、明香の番だ。
時間は確実に減っている。
それなのに、明香はその場に立ち尽くして動かない。
「やばいかもな」
新田くんが、私の耳元で囁いた。
やばい?
「普通のしりとりでも【る】は鬼門だから」
「あっ」
そうか。
賢太が裏切ったことにより、事前に打ち合わせしていたしりとりとは違ってきた。
本来なら【こま】→【まんが】→【がびょう】だったのに__。
【こっぷ】→【ぷーる】→【る??】と変わった。
しかも【る】は鬼門。
普通なら『るびー』や『ルーレット』で問題ないけど、そんなもの学校にはない。それでなくても【る】は言葉が少ないんだ。
「る、る、る」
ずっとそう繰り返し、校舎に戻っていく明香を追いかける。
教室に着いた頃には、もう制限時間は半分を切っていた。
まさか、明香が失格?