死りとりゲーム
「ねぇ、なんか思いついた?」
こっそりと響子が尋ねてくる。
机の引き出しを漁ったり、ロッカーを荒らしている明香を見つめながら、私は首を振った。
【る】から始まるものが、なにも思いつかない。
それは他のみんなも同じらしく、一様に首を傾げている。
ということは__?
もしこれから前の参加者が【る】で終われば、ピンチが訪れる。
逆に【る】で終わらせれば、次の参加者をピンチに陥(おとしい)れることができる。
【る】に限らず、濁点があるものは見つかりにくいかもしれない。
「もう1分しかない」
スマホで残り時間を確認した明香が、諦め気味に呟いた。
もう探すのをやめたのか、じっとスマホを見ている。
時間が減っていくだけなのに__?
なにか考え込んでいる様子だ。
まさか、スマホを使って調べるとか?
【る】と打ち込んで予測変換すれば、いくつか文字が出てくるはずだ。
でも、そんなことをすればバレるだろう。
それなのに明香は、スマホになにか打ち込み始めた。
そして耳に当てる。
「電話?」
響子も不信に思ったのか、眉をひそめる。
そんな私たちの反応もお構いなしで、真剣な表情で誰かに電話をかけている明香。
耳からスマホを離すと、スピーカーを押す。
すぐに電話がつながった。