死りとりゲーム


学校内に入り、様々な部活で使われている部屋を見て回る。


【技術室】には、ドライバーやノコギリなどの工具が転がっていた。


【美術室】には絵の具やキャンパスが置かれ、一度入った【音楽室】で楽器を確認する。


こうやって冷静に回ると、気づかなかった物で溢れかえっているけど__いざゲームが始まり、制限時間が減っていくと、頭の中が真っ白になっちゃうんだ。


「ちょっと緊張してきた」


響子の顔が強張っている。


ましてやトップバッターで、どの文字がくるのか全く予想がつかない。


「大丈夫、絶対にクリアしよう」


私が励ますと、響子は薄っすら笑ってくれた。


チャイムが鳴り、私たちは視聴覚室に向かう。


竜ヶ崎先生のホームルームのあと、警察に事情聴取されることになった。


明香と仲が良かった私と響子は、他の生徒より長く事情を聞かれたけど、答えることはなにもない。


みんなで相談して【死りとりゲーム】のことは黙っていることにした。


だって、信じてもらえるはずがないでしょ?


しりとりに失敗して、死り神に殺されたなんて__。


カウンセリングを受けて午前中が過ぎていく。


厄介なのは、ゲームがいつ始まるか分からないこと。


始まっても現実世界では数秒のこと、問題はないけど気が気じゃなくて。


そしてそれは、お昼ご飯を食べているときだった。


『死りとりゲームを始めましょう!』




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