死りとりゲーム


ぶ?


ぶ、ぶ、ぶー?


だめだ。やっぱり、テンパってなにも思い出せない。


朝、あれだけ色んなところを見て回ったのに、いざ順番がくると、綺麗さっぱり忘れちゃう!


と、とにかく戻ろう!


校庭から校舎に向かって走る。


「あっ!」と、その途中で急停止し、校舎の角にひっそり佇んでいる小屋を指差した。


「豚!って、居なかったっけ?」


「うさぎしか飼ってないって」


響子に言われ、諦めて校舎に戻った。


とりあえず教室に戻ればいい?いや、なにも思いついていない。


「ぶ?」


何度も口にするけど、そのあと何も続かない。


『豚』が頭にこびりついて。


ぶ、ぶ、ブック?本?それなら、図書室に行けばなにか見つかる?


文庫本とか?


あっ、だめだ。


【ん】がついた。


でも、なにか思いつきそう。なにか本にまつわるもので__?


図書室に向かっていた足を止め、私は教室に向かう。


「田辺、落ち着け」


声を掛けてくれた新田くんに頷き、机の中を一つ一つ見て回る。


本じゃだめなんだ。


だめなんだけど、本じゃないとだめ。


あっ、あった!


「それ、文庫本じゃないのか?」


賢太が鼻で笑った。


そう、確かにこれは文庫本だ。


文庫本だけど「ブックカバー!」がしてある。


『クリアです』


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