死りとりゲーム


『次は【る】から始まるものを見つけて下さい!』


そんなアナウンスも無視し、悠馬が賢太の首を絞め上げる。


「てめぇ、わざとだろうが!」


「ち、ちち、違うっ!」


「違わねーんだよ!」


容赦なく力を込める悠馬に、賢太の顔色がなくなっていく。


私としては、どっちがどっちが分からない。


確かに【ば】のつくものはいっぱいある。


『バケツ』や『バレーボール』に『バスケットボール』、それこそ『バット』なんかは朝、実際に悠馬が素振りをしたりしていた。それを賢太は見ているはず。


それなのに、わざわざ技術室で『ばーる』を選んだのは【る】で終わらせようという魂胆があるように思える。


悠馬が『プール』と『シール』で明香を2回も【る】責めしたのは、たまたまだ。でも賢太は、狙いがあったように思えて仕方がない。


ずっと悠馬にイジメられていたんだ。


ここぞとばかりに仕返しをしようと考えても無理はない。


ましてや一度、予定とは違うものを答えて裏切った。


でもまさかこのタイミングで同じことを繰り返すとは思えないけど__?


「ぐ、偶然だって!」


「信じられっかよ!」


完全に怒り狂っている悠馬は、賢太を離して突き飛ばすと、足元に転がっていたバールを手に取った。


それをそのまま振り上げる__。


えっ、うそでしょ⁉︎





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