死りとりゲーム


「てめぇ、やりやがったな!」


すぐに賢太を引き倒し、その上に馬乗りになる。


「どこにやったんだよ⁉︎」と、容赦なく賢太の顔面に拳を打ち込む。


血が噴き出し、見る見るうちに顔が腫れ上がっていく。


「だ、だれがっ、言うもん、かっ!」


どれだけ殴られても、賢太は口を割りそうにない。


「殺されたいのか?」


思わず震え上がるような声色だったけど、賢太だけは笑っている。


「君を道連れにできるなら、死んでも構わない」と。


「くそっ!」


ようやく立ち上がった悠馬は、部屋から出て行った。


【る】の物を探しに。


もう残り時間はない。


ルービックキューブをあてにし過ぎて、時間を浪費してしまったんだ。


後を追いかけると、教室で物という物をひっくり返していた。


ヤケになったのか、探しているのか、教室内は台風でも通過したような惨状だ。


「悠馬、落ち着け!」


「くそがっ!」


「落ち着いて考えろ!」


新田くんのアドバイスも、怒りで我を忘れている悠馬には届かない。


「君の頭じゃ、考えたってムダだろうけどね」


遅れてやってきた賢太が、火に油を注ぐ。


「ぶっ殺してやる!」


悠馬が飛びかかった。


本当に殺すんじゃないか?


なぜか逃げようとしない賢太の首に、悠馬の手が伸びる__。


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