俺様課長のお気に入り
要君と両思いになってからすぐに、夏美先輩や真美さんに報告した。
2人ともそれぞれ「よかったね」って喜んでくれた。
真美さんは、タイミングを見て翔君に話してくれるって言うから任せておいた。


要君の仕事が落ち着いてから、週末は可能な限り一緒に過ごすようになった。
それに、要君は平日も早めに上がれた時は、うちに夕ご飯を食べに来るようになった。
気づけば、私とケイ君の横に要君がいるのがあたりまえになっている。

要君のマンションにも連れて行ってもらった。
モノトーンな大人の部屋に、妙にドキドキしてしまった。


あれだけ俺様ぶりを発揮していた要君だけど、いろんなことが初めての私のペースに、ちゃんと合わせてくれている。
週末に、うちに泊まることもあるけれど、今のところ最後までは手を出されていない。
私に魅力がないのかと、落ち込みそうになったけど違った。

「ちゃんと結婚してから、陽菜の全てをもらう。手強そうなお兄さんもいるんだろ?順番を間違えたくないからな」

こういうところは、妙に律儀というか……

「……って、ちょっと待って。結婚!?」

「俺はお前を放すつもりはないと、伝えたはずだぞ」

ちょっと不機嫌そうな顔をして詰め寄ってくる。

「そうだけど……」

「何か不満でも?」

ギロリと睨まれて、おもわず小さくなる。

「安心しろ。俺はそんなに長く待たせるつもりはないからな」

「そ、そうですか……」

別に、結婚するのが嫌なわけじゃない。
ただ、あまりにも唐突だったし、まだ付き合い始めたばかりだから、戸惑ってしまう。

でも、私のことを大事にしてくれていることはわかる。
そのことが、すごく嬉しかった。


< 102 / 137 >

この作品をシェア

pagetop