俺様課長のお気に入り
「そうだ、陽菜。次の週末に引っ越しするぞ」

「えっ?」

「陽菜の部屋だと手狭だし、俺のマンションはペット不可だ。だから、ケイと一緒に住めるちょうどいいマンションを見つけておいた」

「って、ええー!?いつのまに?」

「ん?決めたのは最近だけど、見つけたのはずっと前だ。運良くまだ空いててな」

「なんで?」

「そんなの決まってる。陽菜と結婚するって決めてたから」

なんかこのセリフ、ここ数日の間に何回か聞いたな……

「新しい家では、ケイのゲージはリビングだからな。寝る時だけは、俺が陽菜を独占するから」

最近わかってきた。
要君は、独占欲が強いらしい。

「陽菜、幸せにしてやるからな」

「要君!私も、要君を幸せにするからね」

要君は嬉しそうに微笑んで、私を抱きしめた。
私も、力一杯抱きしめ返す。

「ありがとう、陽菜」





入籍したことを会社に報告すると、男性社員のざわつきが広がった。

「ひ、ひなどりちゃん。岩崎さんと結婚って……ケ、ケイ君は大丈夫なの?」

「はい。仲良くやってるんで、大丈夫です!」

「ひなどりちゃんは、それでいいの?」

「何も問題ないですけど?」

「えぇー!?」

そう叫ぶのは、1人や2人ではなかった。

「だ、だって、ひなどりちゃんは、ケイ君と付き合ってたんでしょ?」

「えぇー!?」

今度は、陽菜が叫んだ。

「何言ってるんですか?ケイ君は、私の飼ってる犬ですよ?ゴールデンレトリーバーの、賢い男の子です!!」

「えぇー!?」

さっきより大きな声が上がった。

「なんてこった……」
「まさか、犬だったとは……」

次々と肩を落として去っていく男性社員に、首を傾げる陽菜。

「夏美先輩、みなさんどうしちゃったんですかね?」

「うんうん。いいわあ。陽菜ちゃんのその天然っぷり」

「……?」

「ま、とにかく、陽菜ちゃんが幸せで何よりよ」

「ありがとうございます!!」



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