俺様課長のお気に入り
SIDE 要
転勤に伴って、3年ぶりに本社に帰ってきた。
引っ越しをすませ、少し遅めのランチにしようと、日曜の街へ出かけた。

確か、マンションから10分ほど行ったところに、雰囲気のよいカフェを見かけた。
そこに行ってみることにした。

気持ちのよい天気だったから、オープンテラスを選んだ。
先客に、チワワを連れたご婦人2人組と、別の席にはプードルを連れたカップルがいたが、カップルの方はもう帰るところのようだ。

ランチにパスタを食べ、食後のコーヒーを飲みながら、スマホでニュースをチェックしたり、行き交う人々を眺めたりして、ゆっくりすごしていた。
そこへ、ゴールデンレトリーバーを連れた小柄な女性が席に着いた。
女性……というより少女か?
いや、喫茶店に1人で入るぐらいだから、せめて大学生ぐらいだろうか。
見た目は、高校生とも言えそうだが……

大きな目に、あどけなさの残るかわいらしい顔立ちだ。
座っていてもわかる身長の低さは、立ち上がった犬の方が大きいのではと思う。
1人と1匹は、しっかりと目を合わせて会話をしているようだ。
彼女の表情からは、この犬がかわいくて仕方がないと思っているのが伝わるし、犬の方からも、彼女を信頼しきっているのがわかる。
きっと、散歩の帰りにでも立ち寄ったのだろう。
とても賢そうな顔つきのその犬は、昔実家で飼っていた黒ラブを思い起こさせた。

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