俺様課長のお気に入り
しかし、どうやら男と付き合ったことのない陽菜は、元々の鈍感さもあって、こちらが少しずつアピールしても一向に気づく気配がない。
おまけに、社内には陽菜を狙っているやつが複数いることに気が付いた。
特に、部下の坂田は陽菜と同期でもあり、要注意人物だ。

もう少し本格的にいくかと思っていた頃、陽菜が風邪をひいて会社を休んだ。
もちろん、陽菜を心配するのが第一だったが、これを機に、陽菜のパーソナルスペースにさらに切り込もうと、マンションを訪ねた。

様子を見て、ケイの世話をして帰るつもりだった。
でも、いつも元気な陽菜が、高熱にうなされる姿に胸を締め付けられた。
「寒い、寒い……」とうなされながら眠る陽菜を放っておけず、せめて俺が温めてやろうと、同じベッドに入って抱きしめた。
陽菜はいつも以上に小さく、頼りなさげに感じた。

この時、陽菜のことは俺が守っていきたいと強く思った。
婚姻届や指輪なんかを用意したのは、この頃だ。


それから、陽菜に対してますます積極的な態度をとっていった。
膝枕をさせたり、抱きしめたり……陽菜は戸惑っていたものの、嫌がっていないと見て取れた。
さらに踏み込んでキスをした時も、真っ赤になっていたものの、拒否は感じられない。
むしろ、彼女の気持ちは、こちらに向いていた。
俺を意識してうろたえる姿は、男心をくすぐった。

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