俺様課長のお気に入り
要君が連れてきてくれた病院は、オレンジを基調とした温かい雰囲気で、少しだけ私の緊張をほぐしてくれた。

「岩崎陽菜さん、中へお入りください」

要君と一緒に、診察室へ入っていく。
産婦人科なんて初めてで、不安から思わず要君の手を握った。

「陽菜、大丈夫だよ」

そう言って、要君も握り返してくれた。



迎えてくれたのは、自分の母親より少し年上の、優しそうな先生だった。

「妊娠しているかもしれない、ということですね?」

「はい。生理が1週間ぐらい遅れてるんです。それに、今朝食べ物を口にしたら変な味がして、急に吐き気に襲われたんです」

「それじゃあ、内診をしてみますね。ご主人はこちらでお待ちくださいね」

私が不安そうな顔をしていたのか、要君がもう一度ぎゅっと手を握ってくれた。



初めての内診は……いろいろと衝撃的だった……



再び、要君の待つ診察室にもどって、結果を待つ。
その間、要君はずっと手を握ってくれていた。

「岩崎さん、尿検査と内診の結果、妊娠されていますね。おめでとうございます」

「本当ですか!?」

私より先に、要君が嬉しそうな声を発した。

「はい。間違いないですよ。妊娠2ヶ月ですね」

思わず2人で顔を見合わせた。

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