俺様課長のお気に入り
「えぇぇぇ!要君、なんかイジケてる?」

「うわぁ。陽菜、いつからそこにいたんだ!?」

要君が立ち上がると、驚いたケイ君も立ち上がった。

「えっと……ちょっと前?」

「…………聞いてたのか?」

か、要君。
耳だけじゃなくて、顔も赤いんですけど……

「俺は何もしてない。俺は何も言ってない」

いやいや、いろいろと……ね?

ボソボソ言い出した要君を、笑いをこらえながら見る。


「要君。要君の私服って、黒とかグレーとか多いけど、やっぱりそういう色が好き?」

私の突然の質問に、訝しげな表情を見せる要君。

「ど、どうしたんだ?突然。まあ、そういう色が多くなりがちだけど」

「ちょっと待っててね」

素早く他の部屋へ行き、あるものを手に要君の元にもどった。

「ほら。こういう色、好きでしょう?」

私の手の中には、先日届いた濃いグレーの毛糸が数玉。
要君はコクンと、首を縦に振った。

「これでね、要君のニット帽を作るの!!私のもおそろいで!!
いろんな物を編んで、かなり上達したから、そろそろ要君の物を作ってみようと思って。楽しみにしててね」

うん。
さっきの要君のつぶやきは、聞いてなかったことにしておこう。

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