俺様課長のお気に入り
大通りを抜けて川沿いを進み、30分ほどかけてやってきたのは、私もケイ君もお気に入りのドッグラン。
広さも十分にあって、ケイ君はここで走り回るのが大好きだ。

私が「ケイくーん!」と呼べば、どこにいても必ず聞きつけて、ちゃんと戻ってくる。

「よしよし。ケイ君は本当におりこうさんだね」

そう言って、頭から首筋を撫でてやればちぎれんばかりに尻尾を振る。
次第にひっくり返って完全服従のポーズになる。
うちのケイ君はなんてかわいいんだと、でれでれしながらますます撫でる。


ドッグランで散々走り回ったケイ君。
でも、まだまだ力が有り余ってそうだ。
せっかくここまで来たのだから、歩きながら新しいお店を開拓しようと、ケイ君に声をかけていつもと違う道に進んだ。
見慣れない街並みに、ケイ君もキョロキョロしがちだ。
たまに、「こっちでいいの?」と尋ねるように上目遣いで見てくる。

「ケイ君、大丈夫だよ。ここをまっすぐ行って右に行けば、いつもの道が見えてくるからね」

と声をかけると、納得したのかまた前を向いた。
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