俺様課長のお気に入り
「さて、2人とも帰ったし、ケイ君お散歩に行こうか」

「ワン!」

9月の半ば頃になると、さすがに夏とは違って日の入りも早くなってきた。

「ケイ君、すぐに暗くなっちゃうから、近場にしておこう」

とりあえず、今日は近所の公園を回って、ケイ君が満足いくようにたくさん歩いて、ヘトヘトになって帰宅した。

「はあ。ケイ君、いっぱい歩いたね。今日はぐっすり眠れそうだよ。
明日のことさえ忘れられれば……」

そう。
明日は失礼男の岩崎さんと、ケイ君のお散歩に行くと約束してしまった日。
はあ、気が重いなあ。



「おやすみ、ケイ君」







「ワンワン、ワン」

「んーはいはい。ケイ君、おはよう」

うん、安定の早起き。
起こしてくれてありがとう、ケイ君。
なんなら、今日ぐらい寝過ごして……二度寝して……ぐうだらと一日を終えてもよかったんだけどねぇ……


「よし、ご飯の用意するね」

「ワン!」


はあ……憂鬱だわ。


朝食を終えてもまだ7時半。
ケイ君のおかげで、なんとも健全な休日の朝を過ごしている。
少しぼーっとしていると、スマホの着信音がなった。


げっ、岩崎さんだ……


「……もしもし」

「出るのが遅い!でもさすが、休日も早くから起きていたようだな」

「はあ……ワン!!」

「おっ、ケイも元気そうだな。今日は11時半だからな。忘れないように」

「わかりました」

「じゃあ、また後で」

わざわざ念押しの電話がかかってきたよ……
これで遅刻やドタキャンしたら、あとが怖そうだ。
仕方がない、行くしかないか……
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