俺様課長のお気に入り
土曜日は、朝のうちにケイ君と散歩に出かけた。
途中でスーパーに寄って、食材を買う予定だ。
たくさん作り置きをして、平日のケイ君のお散歩の時間を確保しないとね。


「ちょっと買いすぎちゃったかな?」

買った食材でパンパンになったリュックを背負って、なんとか帰宅した。

「ふーやっと着いた。重かったあ」

とりあえず、買ったものを冷蔵庫にしまって、ソファーにどさりと倒れ込む。

「ケイ君、いっぱい歩いたね。ちょっと休憩しよう」

一息ついていたところ、テーブルに放ってあったスマホがなった。

要君だ。

「もしもし」

「なんだ?なんか疲れてないか?」

「今、お散歩をしながらスーパーへ行って、買い出しをしてきたんです。ついつい買い込みすぎちゃって。今さっき帰ったところなんです」

「そりゃおつかれさん。ところで、陽菜って料理するの?」

「時間のある限りは自炊してますよ。今日はおかずの作りおきをしておこうと思ったんです。平日もできるだけケイ君をお散歩に連れ出したいから、時間を確保しようと思って。そしたら、買いすぎちゃいました」

「陽菜のことだ、後先考えずにぼんぼん食材を入れたんだろ?」

「うっ、なぜわかるんですか?」

「ははは。図星か。今度買い出しする時は俺に言いな。車を出すか、荷物持ちぐらいしてやるよ」

「か、要君が親切だ……なんか裏があるんですか?」

「人聞きが悪いな。まあいいや。
陽菜、料理ができるんなら、明日は2人分の弁当を作って。車で迎えに行くから。少し遠くにある公園に行くぞ」

「お弁当!?それに車って……」

「中身の注文はつけないから安心しろ。陽菜の得意なものでいい。
車もケイが乗れるようにしておくから大丈夫だ。
あとで陽菜のマンションの住所をメールしておいて。明日は9時半頃に迎えに行くから。じゃあな」

ブチっ。

相変わらず用件だけを伝えて切れた。


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