俺様課長のお気に入り
「さて、まだ2時前か。ケイが大丈夫なら、少しドライブでもするか?
陽菜、行きたいところあるか?」

「うーん。あっ、ケイ君のグッズが見たい!首輪がだいぶ傷んでるから。
えっと……ペットランドっていう大きな専門店なんだけど……」

だいたいの場所を伝えると、要君もすぐにわかったようで、向かってくれた。




ペットランドは、カートに乗れせればペットも一緒に入れるお店だ。
慣れているケイ君は、大人しく乗ってくれた。

「俺が押しててやるから、陽菜は見たいものを見な」

その言葉にあまえて、ケイ君のことはすっかり要君に任せておいた。


「ケイ君の首輪、青と緑のどっちがいいかなあ?」

「今は赤かあ……俺は緑がいいと思うぞ」

「そう?じゃあ、要君の意見を採用で!!」

些細なことでも面倒がらずにちゃんと答えてくれる。
なんか、いいなあ。

「あっ、おもちゃも見ていい?」

「ああ、いいぞ」


あれやこれや見ていると、あっという間に時間が過ぎていく。

「ついつい予定外な物まで買っちゃった」

「まるで、孫に物を買い与えるばあさんみたいだぞ」

ニヤリと悪い顔で笑う要君。

「ば、ばあさんって。もう、意地悪ばっか」

「ははは。でも、それだけ陽菜がケイを大切に思ってるってことだろ?」

「うん、そうだよ」

「俺もお前達を大切に思ってる。だから、こうやって楽しく付き合えるんだ」

「あ、ありがとう」

そんなふうに言われると、嬉しいような、恥ずかしいような……

「さあ、そろそろ帰るか」

「う、うん。そうだね」

なんか、最近の要君の言動にはドキドキさせられっぱなしだ。




「陽菜、荷物持てるか?」

マンションの下で車を降りると、要君が聞いてきた。

「大丈夫だよ。要君、今日もありがとう。ピザもおいしかったし、すごく楽しかったよ」

「ああ、俺も楽しかった。陽菜……」

不意に要君が抱きしめてきた。

「陽菜とケイの横は、本当に心地いいぞ」

要君はそっと頭にキスをすると、手を振って車に乗り込み、帰っていった。

本当に、なんなんだ……
また、髪にキスされてしまった。
心臓が今にも飛び出しそうなぐらいバクバクなっている。


「ケイ君、要君どうしちゃったのかなあ?また髪にキスされちゃった……私も、どうしちゃったんだろう。ドキドキしてばっかりだ」

今夜もまた、なかなか寝付けない夜になった。

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