俺様課長のお気に入り
近づく週末
翌週の水曜日。

「あぁ……やだなあ……」

定時になって帰り支度をして外に出ると、雨が降り出していた。

今日は降らないって言ってたのに……
折りたたみ傘も家に置いてきちゃったし。
はあ、仕方ない、駅まで走るか。

意を決して、往来に飛び出した。
まだぱらぱらと降り出したぐらいだったから、なんとか見られる格好をキープしたまま、駅にたどり着くことができた。
そのまま電車に乗って、最寄駅で下車。
どうせすでに濡れてるし、近いからまあいいやと、小走りで帰宅したのが間違いだった……

雨は急に勢いを増し、マンションにたどり着く頃には、全身ずぶ濡れになっていた。

「さ、寒い……」

駅で傘を買えばよかったと、自分のズボラぶりを呪った。

「ケイ君、ただいま」

「ワンワン」

「もう、急に雨が強くなっちゃって、ずぶ濡れになっちゃったよ……」

愚痴りながら、とりあえずケイ君のご飯を用意して、バスルームへ向かった。

熱いシャワーを浴びて、体を温めた。

「はあ。生き返った」

お湯をためるにも時間がかかるし、シャワーでいいか、とここでもズボラぶりを発揮した自分を、翌日盛大に呪うことになった……




「ワンワン」

「ケイ君……おはよう。だめだ。喉が痛い」

体もだるいし、熱い。
熱が出てるようだ。

やっちゃったなあ。
完全に風邪だわ。


とりあえず、ケイ君の朝ごはんだけ用意して、熱を測ってみた。

「37.8度かあ……今日はお休みだな」

はあ……ちゃんと浴槽に入って温まればよかった。

「ケイ君、ごめんね。風邪ひいちゃったみたい。今日は一日家にいるけど、遊んであげられそうにないなあ」

「クゥーン」

ケイ君は心配そうにこちらを見つめていた。

会社に欠席の連絡を入れ、布団の中に戻った。
ケイ君も、私の体調の悪さを感じたのか、おとなしくベッドの脇に寝そべっていた。

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