俺様課長のお気に入り
「ケイ君、いってくるね。いい子で待っていてね」

私の朝は、いつもちょっと早い。
それは、ケイ君がいつも起こしてくれるから。


ケイ君にしばしの別れを告げて、駅に向かう。
電車に揺られること20分。
駅を出て5分ほど歩いた所に、私の勤める文房具の老舗メーカー、国文堂の本社がある。


私が所属しているのは総務課。
いつも一番乗りで出社して、まず給湯室でお湯を沸かしておく。
それからみんなの机を拭いて、簡単な掃除をする。

そこまで終えると、コーヒーをいれて一息つく。
その頃、他の社員が出社し始める。

「陽菜ちゃんおはよう」

「滝本ちゃんおはよう」

「ひな鳥ちゃん、今日も早いね」


身長が低くて童顔なせいか、私のことを〝滝本さん〟と呼ぶ人は少ない。
まあ、みんな親しみを込めて呼んでくれるからいいんだけど。



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