俺様課長のお気に入り
坂田君は突然がばっと顔を起こして、私の肩を掴んできた。

「ちょっ、ちょっと。なによ」

「陽菜。それじゃあ、俺も動物が好きなんだ。今度一緒に散歩に行かせてよ」

「はぁ?なんで坂田君と?」

「岩崎さんだって行ったんだから、俺もいいだろ?」

「何言ってるのよ!」

「とにかく、お前がそれほどまで溺愛するケイ君に、俺も会ってみたいんだよ」

〝ケイ君に会ってみたい〟って言われると、悪い気はしない。
でも、要君のことを考えると……
坂田君と出かけるって、どうなんだろう……?

「なあ、いいだろ?ケイ君って、本当に賢いんだろ。陽菜の自慢のケイ君に、俺も会ってみたいんだよ」

「……じゃ、じゃあ、一回だけだよ」

「よっしゃあ!!じゃあ、また都合のいい日にな。後で連絡するから」

坂田君はおもいっきりガッツポーズをして去っていった。
そんなにケイ君に会いたかったのか……

でも、よかったのかなあ……

ほんの少し悩んだものの、別に悪いことをしているわけではないと、無理矢理納得した。
それに、一回ケイ君に会わせれば、坂田君の気もすむだろうし。







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