俺様課長のお気に入り
つながる週末
またいつも通りの一週間が始まった。

いろいろ心の中はぐちゃぐちゃしがちだけど、普段通りにすごせていると思う。


時折、要君と星野さんが一緒にいるのを見かけることもある。
嫌な気持ちは少なからず湧いてくるけれど、それに呑まれていたら、どんどん嫌な自分になっちゃいそうで目をそらしていた。
そして、自然と要君を避けるようになっていた。
こういうふうにしていたいわけじゃないのに……

真美さんに、自分の気持ちに素直になるようにアドバイスされたけど……それって、なかなか難しいかもしれない。

心の中では、要君が好きってわかってるのに。


「陽菜ちゃん、なんか……大丈夫?」

夏美先輩も、私の不安定さに気づいたのか、声をかけてくれた。

「大丈夫ですよ。心配かけちゃってごめんなさい」

「私が星野さんのことを話したりしたから……」

「違いますよ。私はいつも先輩に感謝してるんです。知らずにいるより、ずっといいです。ただ、今は自分がどうしていいのかわからないので、迷走しているんです」

「陽菜ちゃん……話したくなったら、いつでも聞くからね」

「はい。ありがとうございます」




私が目をそらしていることもあって、会社で要君を見かけることが減った。
そして……坂田君に会うことが増えた。

「陽菜、おつかれ」

「おつかれさま、坂田君」

告白されてからというもの、どんな顔して坂田君に会えばいいのか、戸惑ってしまう。

「陽菜。陽菜を悩ませてる大部分は岩崎さんのことだろうけど、少しは俺のことで悩ませてると思うと、俺は嬉しい」

「い、意地悪言わないでよ」

「だって、少しは俺を意識してるってことだろ?」

「うっ……」

「そうやって、もっと俺のことを考えて欲しい」



坂田君は宣言通り、積極的にアピールしてくる。
私はそれにどう応えていいのか……
そもそもぐちゃぐちゃな気持ちのまま、何かを伝えていいのかどうかもわからない。

はあ……

帰宅してもため息ばかりついている私を、ケイ君が心配そうに見つめてくる。

「ケイ君。心配させちゃってごめんね。私、どうしたらいいのかなあ?素直になりたいんだけど……素直になるチャンスさえないの」


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