俺様課長のお気に入り
要君と一緒に週末を過ごした日から、一ヶ月ちかく経った。
10月も半ばを過ぎて、すっかり秋も深まっている。
相変わらず要君は忙しいようで、出張もちょこちょこ入っているみたいだ。
たまに思い出したかのように、
〝陽菜、風邪ひいてないか?〟
〝ケイは元気か?〟
なんてメールが来る。
私はそれに、当たり障りのない返事を返していた。
真美さんと話して、素直になりたいって思ったけど、要君と会うことすらままならなくて、その距離は広がるばかり。
同じ会社にいるのに……
それどころか、要君と星野さんが付き合っているという噂は、私の耳にも直接届くようになっていた。
もう、どうしていいかわからない。
そんな私を、夏美先輩はいつも心配そうに見ている。
「陽菜ちゃん……」
「先輩、私大丈夫です。私にはケイ君っていう愛しい相方がいますから」
いつしか、ケイ君だけを頼りにするようになっていた。
それは、要君に出会う前の生活と、何も変わらないようで何もかも同じじゃなかった。
心の中の、何か大切なものを失ってしまったかのようで、全てが色褪せて見えた。
毎日のように、仕事が終わると急いで帰宅した。
すぐに暗くなっちゃうけど、少しでもケイ君を外に連れ出したかった。
そして散歩の間中、私は頭の中でくちゃぐちゃと考え事をしていた。
ふとたどり着いた公園をみまわすと、落ち葉が散っている一角があった。
ああ、そうか。
紅葉の季節か。
ここ最近、いかに俯いて歩いていたのだろう。
暗がりの中、頼りない街灯をに照らされた木は、見事に色づいていた。
「ケイ君、もうすっかり秋だったんだね。週末は2人で紅葉を見に行こうか」
「ワン!」
ケイ君と過ごして、ケイ君と話して……ケイ君との時間だけを頼りに、自分の心を保っていた。
素直になんて……やっぱり全然なれそうにない。
10月も半ばを過ぎて、すっかり秋も深まっている。
相変わらず要君は忙しいようで、出張もちょこちょこ入っているみたいだ。
たまに思い出したかのように、
〝陽菜、風邪ひいてないか?〟
〝ケイは元気か?〟
なんてメールが来る。
私はそれに、当たり障りのない返事を返していた。
真美さんと話して、素直になりたいって思ったけど、要君と会うことすらままならなくて、その距離は広がるばかり。
同じ会社にいるのに……
それどころか、要君と星野さんが付き合っているという噂は、私の耳にも直接届くようになっていた。
もう、どうしていいかわからない。
そんな私を、夏美先輩はいつも心配そうに見ている。
「陽菜ちゃん……」
「先輩、私大丈夫です。私にはケイ君っていう愛しい相方がいますから」
いつしか、ケイ君だけを頼りにするようになっていた。
それは、要君に出会う前の生活と、何も変わらないようで何もかも同じじゃなかった。
心の中の、何か大切なものを失ってしまったかのようで、全てが色褪せて見えた。
毎日のように、仕事が終わると急いで帰宅した。
すぐに暗くなっちゃうけど、少しでもケイ君を外に連れ出したかった。
そして散歩の間中、私は頭の中でくちゃぐちゃと考え事をしていた。
ふとたどり着いた公園をみまわすと、落ち葉が散っている一角があった。
ああ、そうか。
紅葉の季節か。
ここ最近、いかに俯いて歩いていたのだろう。
暗がりの中、頼りない街灯をに照らされた木は、見事に色づいていた。
「ケイ君、もうすっかり秋だったんだね。週末は2人で紅葉を見に行こうか」
「ワン!」
ケイ君と過ごして、ケイ君と話して……ケイ君との時間だけを頼りに、自分の心を保っていた。
素直になんて……やっぱり全然なれそうにない。