俺様課長のお気に入り
それから私は、坂田君に一緒に出かけられなくなったことを謝罪した。

「坂田君、ごめんね」

「いいよ。こうなるようにしたのは俺だから」

「えっ?どういうこと?」

「俺がわざと、陽菜と付き合ってるってでっち上げて広めたの。そしたら、思い通りに岩崎さんが動いてくれた」

「どうしてそんなこと……」

「言っただろ。陽菜の、日に日に元気が無くなっていく顔なんて見てられないって。だから一役買ってやったの」

「坂田君……」

「持つべきものは、よき同僚だろ?」

「うん。ありがとう」

坂田君の優しさに、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえた。

「じゃあ、その感謝の気持ちを、手作り料理という形で……げっ!?」

坂田君が私の後ろに視線を移して、やばいって顔で固まった。

「おい、坂田」

「は、は、はい、岩崎さん」

「えっ?要君。どうしてここに?」

なんか、ドス黒いオーラを纏っているんですが……
明らかに、超絶不機嫌だわ。

「手作り料理だと!?そんなの俺が許すわけないだろ。人の女口説く余裕があるなんて、今月はさぞいい成績を叩き出せるんだろうなあ?」

「す、すいませんでした」

一礼すると、坂田君は凄い勢いで走り去っていった。

要君、どれだけ怖がられてるんだ……
と、若干引き気味で、坂田君の後ろ姿を見つめていた。

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