Midnight Radio
恐る恐る、目を開けると、彼がいました。
こんな状況なのに、思っていたより近い顔にどきどきしてしまいました。
「危ない!」
危うく殴られそうだったところを庇われてしまいました。
……わたし、本当に何しに来たんだろう。
わたしが助けないといけないのに、です。
そう思うと俄然力が入り、わたしは体を起こし、立ち上がりました。
守られていたために、ほとんど怪我をしなかったお陰です。
でも、彼はぼろぼろです。
制服は靴の汚れがついて、顔も何か所か赤くなっています。
「止めて!なんでこんなことをするの!
痛がっている!
こんなの、リンチじゃん……。
警察呼ぶよ!
……将来が、将来がどうなってもいいなら、まだ殴ったらいい!」
最後の一言は、言ってからまずいなあと思いましたが、みんな普通の高校生らしく警察とか将来という言葉に敏感で、すぐにその場を去りました。