Midnight Radio




昨日の夜はほとんど徹夜で頼まれていた書類を仕上げた。



そのお陰で、千鶴は酷いくまのある顔で出社する羽目になった。



元はと言えば、余裕を持って仕上げていなかったのが悪いのだが。



「おはようございます」



「おはよう、千鶴さん」



「この前の書類、出来ました。
ぎりぎりになってすみません」



「ありがとう、やってもらっただけ助かったよ。
……あれ?疲れていますよね?
俺のせいでごめんな」



「ええ、まあ、少し。
でも大丈夫です」



「本当にごめんな、千鶴さんも忙しいのに大変な仕事を頼んで。
疲れたらゆっくり休んでいいから。
部長も許可してくれているから」



部長の方を見ると、照れくさそうに笑っていた。



「ありがとうございます、お言葉に甘えさせていただきます」



机の書類を片付け、休んでしまおうか。



なんて言って、本当に休んでいるわけにはいかなかった。



この時期は今なら確実に労働規準やら何やらで引っかかるほどの忙しさなのだ。



なんとか千鶴も重たい瞼を上げて仕事に取り組まないといけない。



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