Midnight Radio
わたしには、密かに憧れ、好意を持っている人がいます。
彼はクラスの中でも目立つ人です。
一方のわたしは、スカート丈は少しだけ膝上にして、友達付き合いは多くも少なくもない、よくいる高校生です。
毎日彼を見ると、1日を頑張る元気が出るんです。
「おはよ、サキ」
「おはよ、ヨッちゃん。
なんかいい匂いするね」
「さすがサキ!
シャンプー変えたんだ。
あ、そういえば、今日漢字テストあるよね?」
「うん、割と範囲多かったんだよね、帰ってすぐに気づいたから良かったけど」
「わたし夜中に気づいたから今日は少し眠いんだぁ」
隣であくびをするヨッちゃんを笑うと、視界の端に彼がいました。
彼のことは、誰にも言いません。
言ったら恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだからです。
だから、毎日友達に気付かれないようにそっと目を動かすだけです。
ヨッちゃんの話を聞きながら彼に目線を向けるという妙芸をしながら教室に入り、席に着きます。