哀夢
まっちゃんは、毎日のようにメールしてきては、
『今なにしてる?』
『今どこにいる?』
『男といない?』
など、送ってきた。
わたしは、始めはマメに返していたが、だんだん面倒になって、返信回数は減っていった。束縛されるのは嫌いでは無かったが、そばにいてくれないと、意味が無かった。
当時の派遣先の友達に、わたしと同じ名前の子がいた。秀と言って、漢字は違ったが、呼び名が一緒だったため、わたしは愁ちゃん、相手は秀と呼ぶことで、差を付けていた。
ある日、久しぶりに秀からメールが入る。
『愁ちゃん、ごめん!2万貸せない?』
『どした?』
『彼氏と一緒に会社辞めようと思っとるんやけど、帰る電車賃が無くて…』
『…わかった。今は無いけ、売りやって稼いでくるけん、待っちょって!』
『ありがとう!ごめんね!絶対返すけ…。
あたし、彼が怒るけ売りやれんのやん…。』
わたしはバカだったから、友達に頼られることが嬉しくて、出会い系サイトに書き込んだ。
『助けてくれる人いませんか?今から2で会える人探してます。』
誰でも良かったので、1件目の返信に返した。
その人は、会うなり、
「おれの電話番号消して!」
と言ってきた。
わたしが削除したのを見せると、ラブホに直行する。
すると、今度は
「シャブやってからSEXしよ!ダメならお金払わんよ?」
と言ってきた。
秀のためだし…。
「いいよ!」
シャブを打ってのSEXも、別に変わらなかった。多少の演技をしつつ、終わると、外は、暗くなっていた……はずだった。日は落ちているはずなのに、夕方のように明るかった。
なにこれ?
不思議な感覚だった……。男と別れてもずっとふわふわしていた。しかし、わたしの中にある疑問が………。
シャブって、麻薬ってくらいだから、薬よね?………精神科の薬と飲み合わせるとヤバイかなぁ………。
バカな疑問だと思う。でも、当時のわたしは真剣に迷って……結果、飲むのを止めた。
お金は翌日振り込んだ。
しかし、シャブの禁断症状はエグかった。
どうしたらいいかわからずに、シャブの経験があった涼介に連絡した。涼介はすぐに来てくれた。
酒を勧められ、飲むと、無性にイライラして、
「喋んなちゃ!うるせー!」
と言い、涼介が黙ると
「黙んなちゃ!なんか喋れ!」
理不尽な文句を言い続けた。
酒を飲むと、早く抜けると聞いて、わたしは涼介の家へ連れて行かれる。
酒を飲み、文句をしこたま言った。
その後は、グダグダに酔ったわたしを涼介は抱いた。妙な気はしたが、正常な判断はできなかった。
満足気にコトは終わり、わたしは一眠りして、起きるとシャブのイライラは抜けていた。
しかし、送金してから秀と連絡がつかなくなった。わたしは、あーそうか……。と悟った。わたしは秀の金ヅルだったんだ。笑いが出た。
涼介から電話がなる。
「もしもし…」
「愁ちゃん、昨日のこと覚えてるよね!」
「あー、あれ、最後やけん……。もう連絡せんでね!」
「違う違う!あれ、隠しカメラで撮りよったんね!DVDに焼いたら、今彼に送らして貰うけ!」
………は?………
「ちょっと待ってよ!何言ってるかわかってる?」
「愁ちゃんのあんな姿見たらどーすんのかなー?」
「やめてよ!」
「んじゃぁ、またちょこちょこ会ってよ」
「………ちょっと考えさせて……」
「オレ短気やけ、早くね♪」
…電話を切る。
もう、なるようになれ!
わたしは売りとシャブのことを外して、まっちゃんに全部話した。
「……やけ、変なDVD届くかも……。ごめん。どうしたらいい?もう、会いたくは無いけど………。」
「わかった。変なの来たら、観らんで廃棄するけ、安心して!送らせていいよ!」
「ありがとう。ほんとごめんね。」
わたしは涼介に電話して、送っていいからもう会わない…。と告げた。
そして、数日後、今度は精神科で、先生に聞いてみる。
「先生、シャブって薬と一緒でしょ?どんくらい間空けな飲まれんと?」
「覚醒剤やったの?注射?」
「うん、やけ、ここ2〜3日は薬飲んでない。」
「じゃあ、一応採血しとこうか。肝炎とかエイズとか心配やし…」
「はーい。」
「やったのは1回だけ?」
「もちろん!ゆーほど気持ちよくないね!ってか、病院の薬飲めんほうがキツイ!」
「エラいね!もう飲んでも大丈夫だと思うよ!」
先生は笑いながら言った。
幸いエイズも、肝炎も、セーフだった。
わたしは、まっちゃんとの関係に疲れてきていた。束縛はするのに会えない。実家にいるストレスが限界を迎えたとき、わたしは別れを切り出した。
まっちゃんは、すごくショックを受けていたが、受け入れてくれた。
…が、後日メールが入る。
『おれ、エイズ検査したらクロやった。愁ちゃんも受けたほうがいいよ!』
嫌がらせか、本当かは知らないが、
『ご愁傷さま。あたしは検査したけどシロだったんで……。』
と打ち込むと、返信は、途絶えた。
これで、まっちゃんとも終わった。
『今なにしてる?』
『今どこにいる?』
『男といない?』
など、送ってきた。
わたしは、始めはマメに返していたが、だんだん面倒になって、返信回数は減っていった。束縛されるのは嫌いでは無かったが、そばにいてくれないと、意味が無かった。
当時の派遣先の友達に、わたしと同じ名前の子がいた。秀と言って、漢字は違ったが、呼び名が一緒だったため、わたしは愁ちゃん、相手は秀と呼ぶことで、差を付けていた。
ある日、久しぶりに秀からメールが入る。
『愁ちゃん、ごめん!2万貸せない?』
『どした?』
『彼氏と一緒に会社辞めようと思っとるんやけど、帰る電車賃が無くて…』
『…わかった。今は無いけ、売りやって稼いでくるけん、待っちょって!』
『ありがとう!ごめんね!絶対返すけ…。
あたし、彼が怒るけ売りやれんのやん…。』
わたしはバカだったから、友達に頼られることが嬉しくて、出会い系サイトに書き込んだ。
『助けてくれる人いませんか?今から2で会える人探してます。』
誰でも良かったので、1件目の返信に返した。
その人は、会うなり、
「おれの電話番号消して!」
と言ってきた。
わたしが削除したのを見せると、ラブホに直行する。
すると、今度は
「シャブやってからSEXしよ!ダメならお金払わんよ?」
と言ってきた。
秀のためだし…。
「いいよ!」
シャブを打ってのSEXも、別に変わらなかった。多少の演技をしつつ、終わると、外は、暗くなっていた……はずだった。日は落ちているはずなのに、夕方のように明るかった。
なにこれ?
不思議な感覚だった……。男と別れてもずっとふわふわしていた。しかし、わたしの中にある疑問が………。
シャブって、麻薬ってくらいだから、薬よね?………精神科の薬と飲み合わせるとヤバイかなぁ………。
バカな疑問だと思う。でも、当時のわたしは真剣に迷って……結果、飲むのを止めた。
お金は翌日振り込んだ。
しかし、シャブの禁断症状はエグかった。
どうしたらいいかわからずに、シャブの経験があった涼介に連絡した。涼介はすぐに来てくれた。
酒を勧められ、飲むと、無性にイライラして、
「喋んなちゃ!うるせー!」
と言い、涼介が黙ると
「黙んなちゃ!なんか喋れ!」
理不尽な文句を言い続けた。
酒を飲むと、早く抜けると聞いて、わたしは涼介の家へ連れて行かれる。
酒を飲み、文句をしこたま言った。
その後は、グダグダに酔ったわたしを涼介は抱いた。妙な気はしたが、正常な判断はできなかった。
満足気にコトは終わり、わたしは一眠りして、起きるとシャブのイライラは抜けていた。
しかし、送金してから秀と連絡がつかなくなった。わたしは、あーそうか……。と悟った。わたしは秀の金ヅルだったんだ。笑いが出た。
涼介から電話がなる。
「もしもし…」
「愁ちゃん、昨日のこと覚えてるよね!」
「あー、あれ、最後やけん……。もう連絡せんでね!」
「違う違う!あれ、隠しカメラで撮りよったんね!DVDに焼いたら、今彼に送らして貰うけ!」
………は?………
「ちょっと待ってよ!何言ってるかわかってる?」
「愁ちゃんのあんな姿見たらどーすんのかなー?」
「やめてよ!」
「んじゃぁ、またちょこちょこ会ってよ」
「………ちょっと考えさせて……」
「オレ短気やけ、早くね♪」
…電話を切る。
もう、なるようになれ!
わたしは売りとシャブのことを外して、まっちゃんに全部話した。
「……やけ、変なDVD届くかも……。ごめん。どうしたらいい?もう、会いたくは無いけど………。」
「わかった。変なの来たら、観らんで廃棄するけ、安心して!送らせていいよ!」
「ありがとう。ほんとごめんね。」
わたしは涼介に電話して、送っていいからもう会わない…。と告げた。
そして、数日後、今度は精神科で、先生に聞いてみる。
「先生、シャブって薬と一緒でしょ?どんくらい間空けな飲まれんと?」
「覚醒剤やったの?注射?」
「うん、やけ、ここ2〜3日は薬飲んでない。」
「じゃあ、一応採血しとこうか。肝炎とかエイズとか心配やし…」
「はーい。」
「やったのは1回だけ?」
「もちろん!ゆーほど気持ちよくないね!ってか、病院の薬飲めんほうがキツイ!」
「エラいね!もう飲んでも大丈夫だと思うよ!」
先生は笑いながら言った。
幸いエイズも、肝炎も、セーフだった。
わたしは、まっちゃんとの関係に疲れてきていた。束縛はするのに会えない。実家にいるストレスが限界を迎えたとき、わたしは別れを切り出した。
まっちゃんは、すごくショックを受けていたが、受け入れてくれた。
…が、後日メールが入る。
『おれ、エイズ検査したらクロやった。愁ちゃんも受けたほうがいいよ!』
嫌がらせか、本当かは知らないが、
『ご愁傷さま。あたしは検査したけどシロだったんで……。』
と打ち込むと、返信は、途絶えた。
これで、まっちゃんとも終わった。