哀夢
その日、真は仕事で帰りが遅かった。
バイトから帰ったわたしは、真の帰りを待ちながら、布団で横になる。
………ガサ………ゴソ……
という妙な音で目が覚めた。
真?帰ったのかな?
暗い部屋。わたしは手を伸ばす。
………ん?…固いなぁ……
ゆっくりと、動いていく影……
…わたしの中に芽生える不安…。
これは………もしかして………。
電気をつける。
………
ビンゴー‼テッテレー‼
頭の中で、バカみたいな音がする。
そこにいたのは、ワニガメ‼
わたしの顔よりデカいそいつは、一歩、また一歩と窓に向かっている。
わたしの中で天使と悪魔が会議する。
天使「早く捕まえないと、窓から出ていっちゃう‼」
悪魔「でも、捕まえた時に噛まれたら終わりだぜ!」
天使「迷ってる暇はないわ!足の方を持てば平気よ!頑張って!愁!」
……ゔ〜……
真はまだ帰って来る気配なし。
カメは畳をガリガリ言わせながら進んでる。
今は夏。窓は網戸のみ。
……クソっ………
わたしは意を決して、カメに近づく。
1回目 甲羅は掴んだ!!
「重っ!」
仕切り直し!
2回目 持ち上げ………
君、畳に 爪引っかかり過ぎ!!
今度こそ!!!
3回目 甲羅の後ろの方を掴んで…
刺激しない様に ゆっくりもちあげて…
わたしはダッシュで入れ物まで走り、ゆっくり入れた。
心臓が飛び出しそうなほど、バクバクいってる。
もうカメに気付きたくなくて、電気を消して布団に潜り込んだ。
真は帰ってきて、その話聞いて怒ったんだ。
「噛みつかれたら、指無くなったんぞ!」
って。
その後また事件は続く…
あれは冬に、真が出張でいなかった夜のこと。布団で寝ていると、ベランダからガタガタいう音がする。
怖がりだったわたしは、しばらく無視を決め込む。
(わたしは何も聞いてない。)
そう言い聞かせる。
しかし、音はドンドンと叩く音に変わり、わたしは、考え方を変えることにした。
(真がカギ失くしたかなんかだよ!うん!きっとそう!!)
わたしは電気をつける。ドンドンはやまない。そっとカーテンに近づき…思いっきりカーテンを開けた。
すると、そこには裸足で、髪の短いお姉さんがいた。白いワンピースを着ている…
幽霊??
一瞬動きが止まる。
動きの止まっているわたしに、お姉さんは(開けて)とジェスチャーする。
思考停止状態のわたしは、言われるがまま窓を開ける。
押し入るように入ってきたお姉さんは、早口でまくし立てた。
「今追われてるの!…ごめんけど、匿って!」
あまりの剣幕に、気圧されながら、
「いいですけど、誰に追われてるんですか?」
お姉さんは怯えた感じで
「とっても悪い人たち……」
と言った。
わたしはわけがわからなかったので、
「あ、お茶飲みますか?」
と、話題を変えた。
「ありがとう。」
お姉さんはやっと笑ってくれた。
わたしも足があることに、多少ホッとしていた。裸足で逃げるって、いったいどこから逃げてきたんだろう?
お姉さんは名前を言わない。
…少し呂律が回ってない気もする。
酔っているのかな?
……でもお酒の匂いはしなかった。
お風呂に入ってないのか、少し汗臭かった。
「少し寝かせて…」
と言って、お姉さんは布団に潜り込んだ。
わたしはそこから一睡もしなかった。シングルの布団を占領する形で、お姉さんが寝てしまったからだ。
次の日の朝早く、お姉さんは帰ると言ったので、わたしの靴を一足あげた。
お姉さんはお礼を言って帰って行った。
真が帰ってきて、わたしは一連の話をした。案の定、また怒られた。
わたしはそういう時に警察に連絡するってことを、その時学んだんだ。
でもさ、経験しないとわかんないじゃん?
ごめんね。真。いっぱい心配かけちゃって…。
バイトから帰ったわたしは、真の帰りを待ちながら、布団で横になる。
………ガサ………ゴソ……
という妙な音で目が覚めた。
真?帰ったのかな?
暗い部屋。わたしは手を伸ばす。
………ん?…固いなぁ……
ゆっくりと、動いていく影……
…わたしの中に芽生える不安…。
これは………もしかして………。
電気をつける。
………
ビンゴー‼テッテレー‼
頭の中で、バカみたいな音がする。
そこにいたのは、ワニガメ‼
わたしの顔よりデカいそいつは、一歩、また一歩と窓に向かっている。
わたしの中で天使と悪魔が会議する。
天使「早く捕まえないと、窓から出ていっちゃう‼」
悪魔「でも、捕まえた時に噛まれたら終わりだぜ!」
天使「迷ってる暇はないわ!足の方を持てば平気よ!頑張って!愁!」
……ゔ〜……
真はまだ帰って来る気配なし。
カメは畳をガリガリ言わせながら進んでる。
今は夏。窓は網戸のみ。
……クソっ………
わたしは意を決して、カメに近づく。
1回目 甲羅は掴んだ!!
「重っ!」
仕切り直し!
2回目 持ち上げ………
君、畳に 爪引っかかり過ぎ!!
今度こそ!!!
3回目 甲羅の後ろの方を掴んで…
刺激しない様に ゆっくりもちあげて…
わたしはダッシュで入れ物まで走り、ゆっくり入れた。
心臓が飛び出しそうなほど、バクバクいってる。
もうカメに気付きたくなくて、電気を消して布団に潜り込んだ。
真は帰ってきて、その話聞いて怒ったんだ。
「噛みつかれたら、指無くなったんぞ!」
って。
その後また事件は続く…
あれは冬に、真が出張でいなかった夜のこと。布団で寝ていると、ベランダからガタガタいう音がする。
怖がりだったわたしは、しばらく無視を決め込む。
(わたしは何も聞いてない。)
そう言い聞かせる。
しかし、音はドンドンと叩く音に変わり、わたしは、考え方を変えることにした。
(真がカギ失くしたかなんかだよ!うん!きっとそう!!)
わたしは電気をつける。ドンドンはやまない。そっとカーテンに近づき…思いっきりカーテンを開けた。
すると、そこには裸足で、髪の短いお姉さんがいた。白いワンピースを着ている…
幽霊??
一瞬動きが止まる。
動きの止まっているわたしに、お姉さんは(開けて)とジェスチャーする。
思考停止状態のわたしは、言われるがまま窓を開ける。
押し入るように入ってきたお姉さんは、早口でまくし立てた。
「今追われてるの!…ごめんけど、匿って!」
あまりの剣幕に、気圧されながら、
「いいですけど、誰に追われてるんですか?」
お姉さんは怯えた感じで
「とっても悪い人たち……」
と言った。
わたしはわけがわからなかったので、
「あ、お茶飲みますか?」
と、話題を変えた。
「ありがとう。」
お姉さんはやっと笑ってくれた。
わたしも足があることに、多少ホッとしていた。裸足で逃げるって、いったいどこから逃げてきたんだろう?
お姉さんは名前を言わない。
…少し呂律が回ってない気もする。
酔っているのかな?
……でもお酒の匂いはしなかった。
お風呂に入ってないのか、少し汗臭かった。
「少し寝かせて…」
と言って、お姉さんは布団に潜り込んだ。
わたしはそこから一睡もしなかった。シングルの布団を占領する形で、お姉さんが寝てしまったからだ。
次の日の朝早く、お姉さんは帰ると言ったので、わたしの靴を一足あげた。
お姉さんはお礼を言って帰って行った。
真が帰ってきて、わたしは一連の話をした。案の定、また怒られた。
わたしはそういう時に警察に連絡するってことを、その時学んだんだ。
でもさ、経験しないとわかんないじゃん?
ごめんね。真。いっぱい心配かけちゃって…。