蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
『白川乃梨子と申します。よろしくお願いいたします』
お辞儀からぎこちなく顔を上げた私を、彼は数秒間見つめたあと、口元だけの微笑を浮かべた。
『白川花壇のお嬢さまですね。いつも弊社がお世話になっております』
言葉遣いは丁寧だ。なのに彼の顔を見た瞬間、胸がざわついた。いいざわつきなのか不穏なざわつきなのかはわからない。どちらかといえば悪いほう──「お嬢さま」という言葉にどこか冷ややかさが含まれている気がした。
その直感は的中した。
「志望動機は? なぜ家業に入ってわずか一年で弊社を受けられたのですか?」
冒頭から痛い部分に厳しく切り込まれる。
「ホテルの仕事に前から興味がありました。たくさんの人の人生に彩りを添えるお手伝いができることが魅力だと思っています。花の仕事と精神は一緒です」
しどろもどろになりながら必死で答える私を、彼は表情を変えずに眺めている。彼の目は怜悧で、まるでX線のように相手を見透かす鋭さがあった。
お辞儀からぎこちなく顔を上げた私を、彼は数秒間見つめたあと、口元だけの微笑を浮かべた。
『白川花壇のお嬢さまですね。いつも弊社がお世話になっております』
言葉遣いは丁寧だ。なのに彼の顔を見た瞬間、胸がざわついた。いいざわつきなのか不穏なざわつきなのかはわからない。どちらかといえば悪いほう──「お嬢さま」という言葉にどこか冷ややかさが含まれている気がした。
その直感は的中した。
「志望動機は? なぜ家業に入ってわずか一年で弊社を受けられたのですか?」
冒頭から痛い部分に厳しく切り込まれる。
「ホテルの仕事に前から興味がありました。たくさんの人の人生に彩りを添えるお手伝いができることが魅力だと思っています。花の仕事と精神は一緒です」
しどろもどろになりながら必死で答える私を、彼は表情を変えずに眺めている。彼の目は怜悧で、まるでX線のように相手を見透かす鋭さがあった。