蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 お気に入りの音楽、極上のソファー、アロマの蒸気、好物のカップ酒とイカゲソ。お洒落なものと微妙なゲテモノがごちゃまぜだけど極楽だ。アイマスクをしているせいでせっかくの夜景が見えないのは仕方がない。

 アロマの香りに誘われ、つい睡魔に襲われる。今日はアルコールが入っているのでなおさらだった。うとうとしかけて、はっと目を覚ます。


「寝たら駄目よ。せっかくひとりなのにもったいない」


 眠気覚ましになるかとイカゲソをかじっていたら、手に握っていた一本を食べきってしまった。仕方なく手探りで袋を探す。アイマスクを装着する前に必要なものを手の届くところにセットしておくべきだった。

 やみくもに手を振り回していると、いい案配にイカゲソが一本差し出されたように手に当たった。なかなか食べやすいサイズにちぎってあったので気分が上がり、私はにっこり微笑んだ。


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