蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「ただいま」

「…………」

「早く終わったから帰ってきた」

「…………」


 テーブルに散らかるのはカップ酒の空き瓶、イカゲソの袋。隠しようがないそれらは諦め、お行儀悪く上げていた脚をしおしおと下ろした。

 最悪だ。最悪の姿を見られてしまった。これで同棲は終わるだろう。いや、だから最悪じゃなくて最高なの?


「楽しくやってるところを邪魔して悪かったな」


 嫌味なのだろうが、私はあまりの事態に現実逃避したままぼんやり彼を見つめていた。私の耳からプツンとイヤホンが外される。


「聞こえてるか?」

「……おかえりなさい」


 ようやく私の口から、山びこのようにタイミングのずれた返事が出てきた。


「ただいま」


 蓮司さんがそれに付き合ってくれる。


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