蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「犯人の言い訳のために写真まで撮って、二度辱める必要があるのか? 挑発しているかどうか、誰が見てもわかるだろう」


 私の出勤着は披露宴に立ち会うときと同じで、紺色のひざ下丈スーツに髪はきっちりとシニョンに纏めている。


「いやぁ、こういうなんていうか禁欲的な服装? そういうのにムラムラする輩も少なくないですからねぇ」


 そこで爆発しかけた蓮司さんの腕を私が引いて止めた。彼も目撃者として身元を警察に提出しているので、大企業の役職者として傷がついてはならないと思ったのだ。それでも蓮司さんは相当な剣幕で抗議していたけれど。


 そのあと手続き完了まで別室で待たされる間、蓮司さんは腕組みをして押し黙っていた。まだかなり怒っているらしい。
 私は小さな声で謝った。


「すみません……」

「なぜ謝る?」

「仕事、遅れちゃうし」

「それは全然構わない」

「二十七歳にもなって、対処できなくてごめんなさい」

「歳は関係ない。被害者なんだぞ。謝るな」


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