蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
そう、たぶん二十七年間も私が干物でいる原因は、男が大好きなポイント──女の子らしい無邪気さとか可愛らしさとかそういうものが致命的に欠落しているからだと思う。
私だってちゃんと楽しんではいるのだけど、周囲から見ればどこか異彩を放っているのだろう。あそこに行くとそれがばれるからやめておこう。
「酒蔵見学とかか?」
脳内の整理がつかないまま宙を見つめる私を見かねて、蓮司さんが助け舟を出す。私のカップ酒好きを当てこすっているのか、それとも真面目に言っているのかは微妙だ。
「乃梨子が好きな酒の醸造元は兵庫県か。日帰りじゃちょっと遠いな」
「…………」
カップ酒ピンポイントという時点で、嫌味だと解釈する。
「立ち食い蕎麦は駄目だからな。ものの十分で終わる」
「どうしてそれを」
「暖簾の下から突き出た逞しい脚に見覚えがあっただけだ」
「この間は細いって言ったじゃないですか!」
憤慨して叫んでから私は慌てて口をつぐんだ。あの場面を詳細に覚えていることがばれてしまうじゃないの。あのキスまで。
私だってちゃんと楽しんではいるのだけど、周囲から見ればどこか異彩を放っているのだろう。あそこに行くとそれがばれるからやめておこう。
「酒蔵見学とかか?」
脳内の整理がつかないまま宙を見つめる私を見かねて、蓮司さんが助け舟を出す。私のカップ酒好きを当てこすっているのか、それとも真面目に言っているのかは微妙だ。
「乃梨子が好きな酒の醸造元は兵庫県か。日帰りじゃちょっと遠いな」
「…………」
カップ酒ピンポイントという時点で、嫌味だと解釈する。
「立ち食い蕎麦は駄目だからな。ものの十分で終わる」
「どうしてそれを」
「暖簾の下から突き出た逞しい脚に見覚えがあっただけだ」
「この間は細いって言ったじゃないですか!」
憤慨して叫んでから私は慌てて口をつぐんだ。あの場面を詳細に覚えていることがばれてしまうじゃないの。あのキスまで。