蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「で、どんなバイト? 履歴書にはなにも書いてなかったじゃないか」
「親には内緒だったので履歴書にも書けなかったんですけど、生花卸売市場で働いてました」
「どうしてそこで?」
「うちはひとりっ子なので私が白川を背負っていくことになります。でも現場を知らない経営者にはなりたくなかったんです。バイヤーや生産農家の方、仲買人がどんな仕事をしているのか、視察って形ではなく、実地に見たかったんです。そんな体験ができるのは学生のときだけですから」
蓮司さんは黙って聞いていた。力加減を心得た手が優しく私を揺らす。
しばらくして蓮司さんは「そういうことか」と呟いた。
「入社後の実習は必要なかったわけだな」
「どういうこと?」
「親には内緒だったので履歴書にも書けなかったんですけど、生花卸売市場で働いてました」
「どうしてそこで?」
「うちはひとりっ子なので私が白川を背負っていくことになります。でも現場を知らない経営者にはなりたくなかったんです。バイヤーや生産農家の方、仲買人がどんな仕事をしているのか、視察って形ではなく、実地に見たかったんです。そんな体験ができるのは学生のときだけですから」
蓮司さんは黙って聞いていた。力加減を心得た手が優しく私を揺らす。
しばらくして蓮司さんは「そういうことか」と呟いた。
「入社後の実習は必要なかったわけだな」
「どういうこと?」