蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「ほかの男に気安く見せるな」


 腕をさらに引かれ、腰を抱き寄せられる。彼の逞しい腕に絡めとられた私は抵抗しなかった。


「俺がお前のうなじになにをしたかったか、どれだけ我慢したか。手も足も全部だ」


 信じられない思いで、腕の中から彼を見上げる。


「わかれよ」

「なにを……?」


 彼は問いかけた私の頬に触れ、引き寄せて強く唇を塞いだ。


「ん……っ」


 前回のキスのように一瞬では終わらなかった。後頭部を支える彼の手が逃げることを許さない。重ねられた力は強いのに、それはなぜか優しく感じられた。鼻から甘い声が抜ける。


 彼は一度唇を放し、私の目を見つめた。
 見つめ合う目が磁石のように引き合い、鼻の先が触れる距離で閉じられて、また唇が重なる。

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