蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「蓮司さん……」
思わず彼を呼んだ声は、自分の声ではないみたいに甘く高く掠れていた。
でもその声にはっとしたように、突然彼の動きが止まった。彼は私の胸元に顔を伏せるようにしてしばらく静止したあと、呟いた。
「……やめられなくなる」
吐息が充満していた部屋に静寂が落ちる。開け放した窓から風に運ばれてきた往来の賑わいがふたりを現実に引き戻していく。
「どうして……」
やめなくちゃいけないの?
突然熱を取り上げられた私は戸惑った。
「初めてだろ。悪かった」
乱れた襟が掻き合わされ、再び紫陽花の花が私の身体を包んだ。茫然としている私の耳に、彼の声が届く。
「飲み物を買ってくるから、帰り支度をしてくれ」
返事をせずにいると、蓮司さんが私をそっと抱き起こした。
「コーヒー牛乳だろ?」
あやすように言ってから私の髪を撫で、彼は立ち上がった。
思わず彼を呼んだ声は、自分の声ではないみたいに甘く高く掠れていた。
でもその声にはっとしたように、突然彼の動きが止まった。彼は私の胸元に顔を伏せるようにしてしばらく静止したあと、呟いた。
「……やめられなくなる」
吐息が充満していた部屋に静寂が落ちる。開け放した窓から風に運ばれてきた往来の賑わいがふたりを現実に引き戻していく。
「どうして……」
やめなくちゃいけないの?
突然熱を取り上げられた私は戸惑った。
「初めてだろ。悪かった」
乱れた襟が掻き合わされ、再び紫陽花の花が私の身体を包んだ。茫然としている私の耳に、彼の声が届く。
「飲み物を買ってくるから、帰り支度をしてくれ」
返事をせずにいると、蓮司さんが私をそっと抱き起こした。
「コーヒー牛乳だろ?」
あやすように言ってから私の髪を撫で、彼は立ち上がった。