蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「なんとか理由をつけて白川さんを外してやることはできませんか?」
橘部長が横から言う。
蓮司さんは黙っていて、なんとなく彼が私にやらせようとしていることが感じられた。私が来る前も、こうしてふたりは平行線の議論を繰り広げていたのだろう。
「難癖をつけられて、足元を掬われるようなことがあるかもしれない。彼らは白川さんとこのホテルを切り離したいだろうし」
可能性として濃厚なのはまさにそれだ。優しい橘部長らしい気遣いだった。私は感謝を込めて隣に視線を送り、大丈夫、と微笑んで頷いてみせた。
「やります。私が白川の人間であることは仕事に関係ありません。イベントの成功に全力を尽くします」
腕組みをして私と橘部長の視線のやりとりを見ていた蓮司さんは、硬い表情のまま頷いた。
「先方の希望がなくても、適役だろう」
素っ気ない口調だったけれど、その言葉が武者震いするほどうれしかった。
蓮司さんが私をフローリストとしてだけでなく、ホテルマンとしても認めてくれた気がしたから。
「先方もイベントで失敗したくはないだろうし、トラブルを狙っているというのは杞憂なのかもしれないね。僕もサポートするよ」
私の返事を聞いた橘部長は、仕方がないなという苦笑いで頷いた。
橘部長が横から言う。
蓮司さんは黙っていて、なんとなく彼が私にやらせようとしていることが感じられた。私が来る前も、こうしてふたりは平行線の議論を繰り広げていたのだろう。
「難癖をつけられて、足元を掬われるようなことがあるかもしれない。彼らは白川さんとこのホテルを切り離したいだろうし」
可能性として濃厚なのはまさにそれだ。優しい橘部長らしい気遣いだった。私は感謝を込めて隣に視線を送り、大丈夫、と微笑んで頷いてみせた。
「やります。私が白川の人間であることは仕事に関係ありません。イベントの成功に全力を尽くします」
腕組みをして私と橘部長の視線のやりとりを見ていた蓮司さんは、硬い表情のまま頷いた。
「先方の希望がなくても、適役だろう」
素っ気ない口調だったけれど、その言葉が武者震いするほどうれしかった。
蓮司さんが私をフローリストとしてだけでなく、ホテルマンとしても認めてくれた気がしたから。
「先方もイベントで失敗したくはないだろうし、トラブルを狙っているというのは杞憂なのかもしれないね。僕もサポートするよ」
私の返事を聞いた橘部長は、仕方がないなという苦笑いで頷いた。