蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「和の世界にも通じているところを見せ、綾瀬花音の格を上げるつもりだろうな。今はアイドル的な扱いに留まっているから」
「なるほどね。そんなに簡単にいくものかな。安易に伝統文化を利用すると痛い目を見る気がするよ。あの世界は怖いからね。白川さんはどう思う?」
橘部長に話を振られ、返答に詰まる。
「あまり彼女を存じ上げていないので……。きっと伝統文化にも通じていらっしゃるのだと」
無難な返答で彼女を立ててお茶を濁す。
蓮司さんを含めた打ち合わせで、私は必要最低限の質問以外はなるべく口をつぐんでいた。
客の前であってもなくても、否定的な意識を持つと自ずと接客に表れてしまう。華道と同じく心を水平に保って臨みたいのだけど、今回はそれがなかなか難しい。自分の内にある対抗心や嫉妬を蓮司さんに見抜かれたくない。
白川のライバルだから? 蓮司さんに接近しているから?
「まあ、今日の午後にわかるね。綾瀬さんが来社するのは午後二時だったかな」
「はい、そうです。お目にかかるのが楽しみです」
笑顔で答えたものの、私は悪い予感をひしひしと覚えていた。
「なるほどね。そんなに簡単にいくものかな。安易に伝統文化を利用すると痛い目を見る気がするよ。あの世界は怖いからね。白川さんはどう思う?」
橘部長に話を振られ、返答に詰まる。
「あまり彼女を存じ上げていないので……。きっと伝統文化にも通じていらっしゃるのだと」
無難な返答で彼女を立ててお茶を濁す。
蓮司さんを含めた打ち合わせで、私は必要最低限の質問以外はなるべく口をつぐんでいた。
客の前であってもなくても、否定的な意識を持つと自ずと接客に表れてしまう。華道と同じく心を水平に保って臨みたいのだけど、今回はそれがなかなか難しい。自分の内にある対抗心や嫉妬を蓮司さんに見抜かれたくない。
白川のライバルだから? 蓮司さんに接近しているから?
「まあ、今日の午後にわかるね。綾瀬さんが来社するのは午後二時だったかな」
「はい、そうです。お目にかかるのが楽しみです」
笑顔で答えたものの、私は悪い予感をひしひしと覚えていた。