蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
『鷹取部長はどんな様子?』


 あまりに気になるので真帆に返信してみる。


『されるがまま』


 私の眉間に皺が寄った。たとえ実体はなくても、一応私と表向きには〝結婚を視野に入れて同棲〟している身なのだから、ほかの女性とベタベタするのは御法度だろう。

 同棲を始めた頃は破談にするチャンスを狙っていたから、こんな機会があれば鬼の首でも取ったように張り切って証拠を押さえに行ったはずだ。でも今は気になって、いてもたってもいられない。


『今、出て行ったよ! そっちに向かう様子』


 真帆からの速報を見て怒りを鎮め、コンパクトミラーを取り出して今一度メイクがきちんとしているか確認する。


 やがて廊下から甲高い声が響いてきて、彼女の一行が入ってきた。先頭にいるのは蓮司さん。そのすぐうしろにひと目でそれとわかるというよりもっと強い、光をまとったような雰囲気の女性がいた。続くブーケ・ダンジュの社員数人は存在も意識に入らないぐらい霞んで見える。


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