蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
身長は百六十センチぐらいで、ごく標準だ。でも小顔であるためにとても整ったスタイルに見える。陶器のように白くなめらかな肌に大きな瞳、ぽってりとした唇。絹糸のように艶やかな髪は生来の色素が淡いのか自然な栗色で、毛先は優雅にウェーブがかけられている。綾瀬花音の見た目はまさに天使そのものだった。
ただし、その目の奥に宿る高慢な光を除いては。
私たち一同は立ち上がり、彼女を迎えた。
本来の顧客ならば打ち合わせ室で数回協議を行うのみで、ここまで丁重に対応しない。事前に橘部長から聞いたところによると、ブーケ・ダンジュが上客というのではなく、綾瀬花音がタレントであるが故のことらしい。なにをするにも自分が主役の場が整えられることを当然と思っているのだろう。実際、彼女が部屋に入ってきた瞬間、大輪の花が咲いたように空気が華やいだ。
「営業企画部のみなさん、綾瀬花音です。よろしくお願いしますね」
自己紹介からも芸能人臭がするように感じるのは私の妬みだろうか。
ただし、その目の奥に宿る高慢な光を除いては。
私たち一同は立ち上がり、彼女を迎えた。
本来の顧客ならば打ち合わせ室で数回協議を行うのみで、ここまで丁重に対応しない。事前に橘部長から聞いたところによると、ブーケ・ダンジュが上客というのではなく、綾瀬花音がタレントであるが故のことらしい。なにをするにも自分が主役の場が整えられることを当然と思っているのだろう。実際、彼女が部屋に入ってきた瞬間、大輪の花が咲いたように空気が華やいだ。
「営業企画部のみなさん、綾瀬花音です。よろしくお願いしますね」
自己紹介からも芸能人臭がするように感じるのは私の妬みだろうか。