蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「あ、そうだわ。営業企画部のみなさんにプレゼントをお持ちしたんです。私がアレンジしたフラワーボックスなんですけど」
彼女はそう言って部屋を見回し、窓辺のキャビネットの上に飾ってあった花に歩み寄った。週末の披露宴で廃棄になった花を利用して、私が生けた花だ。彼女はそれを勝手に退け、代わりにブーケ・ダンジュの社員に豪華なフラワーボックスを置かせた。脇に退けられた私のお花がやけに小さく見える。
「あなた」
綾瀬花音が私を視線で呼ぶ。たった今、私はちゃんと自己紹介したのだから名前で呼びなさいよと内心で文句を言いつつ、笑顔で「はい」と答える。
「その花、捨てておいてくださる?」
……え?
彼女の言葉はいろいろな意味で青天の霹靂だった。たしかに寄せ集めの花材で生けたものだから完璧な作品ではないし、みすぼらしいかもしれない。でもまだ萎れていない花を、しかも他人が生けた花を捨ててくれと平気で発言する感覚が、私の理解をはるかに越えていた。
彼女はそう言って部屋を見回し、窓辺のキャビネットの上に飾ってあった花に歩み寄った。週末の披露宴で廃棄になった花を利用して、私が生けた花だ。彼女はそれを勝手に退け、代わりにブーケ・ダンジュの社員に豪華なフラワーボックスを置かせた。脇に退けられた私のお花がやけに小さく見える。
「あなた」
綾瀬花音が私を視線で呼ぶ。たった今、私はちゃんと自己紹介したのだから名前で呼びなさいよと内心で文句を言いつつ、笑顔で「はい」と答える。
「その花、捨てておいてくださる?」
……え?
彼女の言葉はいろいろな意味で青天の霹靂だった。たしかに寄せ集めの花材で生けたものだから完璧な作品ではないし、みすぼらしいかもしれない。でもまだ萎れていない花を、しかも他人が生けた花を捨ててくれと平気で発言する感覚が、私の理解をはるかに越えていた。