蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「承知いたしました」


 それでも笑顔で頭を下げなければならなかった。個人の主義に反しているかいないかをこの場に持ち込んではいけないのだ。
 脇に退けられた花をとりあえず自分のデスクに下げる。背後では綾瀬花音があらためて挨拶をしていた。


「私のお花がみなさんの癒しになればうれしいです。では、慌ただしい挨拶でごめんなさい。このあと雑誌の撮影がありますので、今日はこれで失礼します」


 蓮司さん、なにか言ってやってよ……。
 そんな私の願いが届くはずもなく、綾瀬花音は蓮司さんにくっついたまま営業企画部から出て行った。


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