蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
『でもね、ついに恐れていたことが起きちゃったのよ。仕事先で胸が痛いって言ったきり意識がなくなって、病院に運ばれたの。一命は取りとめたんだけど、肺が両方ともほぼ壊死してて、お医者様からは今生きてるのが不思議だって』
母は電話口で泣き出した。運び込まれたときは家族を呼んだほうがいいとまで言われたという。
『すぐに持ち直したから乃梨子には連絡しなかったんだけど、でもあのときはお父さんの血液、酸素が全然なくて、真っ黒だったのよ……』
「お母さん、泣かないで」
治癒の可能性は低いと言われたけれど、ステロイド剤による治療を試した結果、父の血液の状態は劇的に改善し、早く退院して仕事に戻ると騒いで看護師さんを困らせているそうだ。
『それでね、乃梨子。こんなことを乃梨子に言うのは酷なんだけど』
「なあに? 大丈夫よ。なんでも言って」
『橘ホテルを辞めて、白川に戻ってほしいの。お父さんはまだまだ頑張れるって言ってるけれど、実際は鼻にチューブをつけて、酸素ボンベを常に抱えて生活しなきゃいけなくなるそうなの。今まで通りに仕事をするのは無理なのよ。次に倒れたら、そのときは本当に終わりだって』
母は電話口で泣き出した。運び込まれたときは家族を呼んだほうがいいとまで言われたという。
『すぐに持ち直したから乃梨子には連絡しなかったんだけど、でもあのときはお父さんの血液、酸素が全然なくて、真っ黒だったのよ……』
「お母さん、泣かないで」
治癒の可能性は低いと言われたけれど、ステロイド剤による治療を試した結果、父の血液の状態は劇的に改善し、早く退院して仕事に戻ると騒いで看護師さんを困らせているそうだ。
『それでね、乃梨子。こんなことを乃梨子に言うのは酷なんだけど』
「なあに? 大丈夫よ。なんでも言って」
『橘ホテルを辞めて、白川に戻ってほしいの。お父さんはまだまだ頑張れるって言ってるけれど、実際は鼻にチューブをつけて、酸素ボンベを常に抱えて生活しなきゃいけなくなるそうなの。今まで通りに仕事をするのは無理なのよ。次に倒れたら、そのときは本当に終わりだって』