蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「誘った僕が言うのもなんだけど、僕相手にそんなに酔わないほうがいいと思うよ」

「……橘部長は危険な人なんですか?」


 橘部長とそういうことがつながらず、ぼんやりと橘部長を見つめる。そんな私を見て橘部長は困った顔で笑った。


「まあ、男はみんな危険なんだよ」

「そうですか……」


 でも、蓮司さんは最後の最後まで私に手を出してくれなかった。今、彼は綾瀬花音と一緒に飲んでいるのだろう。彼は彼女になら危険な男になるのだろうか。
 諦める痛みがきりきりと胸を刺す。


「一回ぐらい、女として見てほしかったです……」

「えっ?」


 橘部長が隣でなぜか激しく反応した。


「どうかしましたか?」


 私が真顔で訊くと、橘部長はやれやれという風に苦笑した。


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